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Square Kilometer Array (SKA)とは

SKA (Square Kilometer Array, 一平方キロメートル電波干渉計)は国際的組織によって建設計画が進められている巨大な電波干渉計である(図1)。アンテナ2000台から3000台で構成され、総開口面積が一平方キロメートル台となることから、SKAと呼ばれている。観測周波数0.1GHzから25GHz帯というセンチ波メートル波をカバーし、現在日・米・欧で建設が進められているミリ波サブミリ波干渉計ALMAとは完全に相補的な役割を担う。周波数帯は大きく3つに分けられ、(i) 0.1 GHz−1GHzは低周波SKAと呼ばれ開口型アンテナ(図1中央から下にかけて描かれているタイプのアンテナ)を用い、(ii) 1GHz−10GHzは中間周波SKAと呼ばれパラボラアンテナタイプ(図1中で上部に描かれているタイプのアンテナ)を用い、(iii) 10GHz以上は高周波SKAと呼ばれ(ii)と同様にパラボラアンテナを用いる。基線長は最大3000kmと考えられており、VLBI並みの高空間分解能観測が実現される。SKAの特徴は上記の長波長電波の観測のほか、 (i) 高感度、(ii) 広視野、(iii) 広帯域、(iv) 高分解能、の4点である。建設地は大気が安定していて人口電波が少なく、広大な土地が確保できるという観点から、オーストラリアと南アフリカが最終候補地となっている。 本計画は国際的な組織で推進が図られており、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、南アフリカ、カナダ、中国が、それぞれ大規模な予算を投入して参画している。またインドやニュージーランド等も関連する計画を進め、韓国も関連プロジェクトに着手し始めるなど、国際組織は現在も再編成をしながら計画が進んでいる。

科学的な意義

SKAはセンチ波・メートル波帯の汎用性の高い望遠鏡であり、太陽系から宇宙論規模のスケールまで、幅広い科学的研究が飛躍的に進むと期待されている。とりわけ以下にあげる5つの研究テーマは、最も科学的インパクトの高い課題に掲げられている。
1. 宇宙における生命:高空間分解能観測によって半径 数AUの原始惑星円盤を直接撮像し、惑星の誕生を明らかにする。また生命に結びつくような複雑な分子輝線を長波長の電波で探査し、生命の誕生に迫る。さらに地球外生命から発せられる電波を捉えるSETIも、現実的観測課題である。
2. 宇宙の暗黒時代:宇宙の再電離が起こる頃の中性水素原子ガスを直接観測し、再電 離離の過程とそれを引き起こした宇宙最初の天体を捉える。またこの時代に初めて生成される一酸化炭素などの分子輝線や、宇宙最初のブラックホールを捉える。       
3. 宇宙磁場の進化:数億の背景天体について回転量度の全天サーベイを行い、銀河系から遠方銀河にまでわたる宇宙磁場の分布を調べ その起源と進化を探る。
4. 重力理論の検証:2重パルサーやブラックホールと連星系をなすパルサーのパルスを測定することにより強い重力場での相対性理論を検証する。また銀河系中にある多数のパルサーを観測することによって、我々の近傍を通過する重力を捉える。
5. 銀河進化: 中性水素原子輝線で全天サーベイ観測を行い、z=1.5までの銀河分布図を描きだす。これにより銀河進化と宇宙の構造形成、ダークエネルギーの性質を明らかにする。また連続波観測では最も遠方の星形成や重力レンズ効果を探る。

SKAによるサイエンス(Design Reference Missionより)

  • イントロダクション
  • 宇宙磁場の深視野・広視野偏波観測
  • SKAによる宇宙論・銀河進化の研究
  • SKAによる宇宙生命研究
  • SKAによるAGN研究
  • SKAによるアストロメトリ研究
  • SKAのテクノロジー

  • イントロダクション
  • パラボラアンテナ
  • 開口アレイアンテナ
  • ソフトウェアとコンピューティング
  • 信号伝達とネットワーク
  • 信号処理
  • システムエンジニアリング
  • 所要経費

    建設費2000億円(初期投資:2000億円、運営費等:年間200億円)

    建設計画

    平成19−24年度:望遠鏡のデザイン検討、所要経費見積もり
    平成21−24年度:アンテナの試作機がオーストラリア、南アフリカに建設
    平成25年度:アンテナ建設地の決定。最終的な国際組織の設立。
    平成25−34年度:低周波・中間周波SKAの建設。
    平成30年度:初期運用
    平成35年度:本格運用

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